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2025.07.08

守谷史男「Shangri-La ー理想郷を求めてー」個展於7月15日-8月30日在大阪一音当代美術館「ICHION CONTEMPORARY」隆重開幕

会場:ICHION CONTEMPORARY

大阪府大阪市北区野崎町9-7

会期:2025年7月15日(火) - 8月30日(土)

開館時間:11:00 - 18:00

※最終入場17:30 ※最終日のみ17:00終了

休館日:日、月、祝日

料金:無料

URL:https://ichion-contemporary.com



シャングリラ──それは、雪深いはるか彼方の山の奥に隠され、人の心の奥底にだけ存在し続ける理想郷の名。ジェームズ・ヒルトンの小説『失われた地平線』(1933年)に描かれたこの地は、永遠の静寂と調和に包まれ、決して到達することのできない幻想の地として語り継がれてきました。守谷史男は、誰も見たことのない「心の中の理想郷」に向け、半世紀以上にわたりひたむきに歩み続けてきました。1960年代には〈人体〉を主題とし、生命の有機的なかたちと無機的な構造物を対置させ、スプレー技法による圧迫された身体像を通じて、存在の緊張と葛藤、動と静の相克を描きました。1975年の渡米を契機に、守谷のまなざしは次第に絵画の根源的な構成要素である「線」「面」「色面」へと向かい、表現は抽象へと深化していきます。80年代以降、スクラッチ技法で絵具層を削り出し、線の反復や集積によって時間や記憶の痕跡を刻む《作品》や《跡》シリーズを展開。さらに、秩序とわずかなズレが静かなリズムを生む《列》、古代の円墳や霊廟の建築的記憶を幾何学的形態に昇華した《廟》シリーズへとその探求は広がりました。守谷の作品には一貫して「物質と行為」「記憶と時間」「構築と痕跡」が交錯し、その探究の歩みは、到達することのない理想郷に向かって続く果てなき旅そのものです。彼の作品が目指したものは、形なき理想の姿であり、その不在を手がかりに私たちは問いを深め、想像を広げていくのです。本展は、守谷が生涯をかけて追い続けた「Shangri-La」の輪郭を、具象から抽象までの主要作品を通じて辿る試みです。見る者の心にひそむ理想郷が、守谷の作品の前でそっと輪郭を現すことを願ってやみません。