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Art News

ICHION CONTEMPORARY

2025.5.9

Sein und Zeit -存在が立ち上がるとき、時間が始まる。- 持田総章《LOCATION》クロニクル

会場:ICHION CONTEMPORARY

   大阪府大阪市北区野崎町9-7

会期:2025年5月27日(火) - 7月5日(土)

開館時間:11:00 - 18:00

     ※最終入場17:30 ※最終日のみ17:00終了

休館日:日、月、祝日

料金:無料

URL:https://ichion-contemporary.com


概要:

ICHION CONTEMPORARYの開館以降、私たちは一貫して、日本の戦後美術の中でも、関西を起点に独自の表現を築いてきた作家たちに焦点をあててきました。その中で今回取り上げるのが、1934年東京生まれ、大阪を拠点に半世紀以上にわたり活動してきた持田総章です。


本展は、1970年代から今日に至るまでの持田の代表作と最新作を通じて、その思考と実践の変遷を辿る、初のクロニクル形式での展覧会です。展示には、立体、平面、インスタレーションといった異なるフォーマットがすべて含まれ、素材と空間へのアプローチがどのように展開してきたかを立体的に示します。会場には、《LOCATION》シリーズの中でも象徴的に扱われてきたモチーフ——たとえば飛行機、靴、階段といったイメージ——が現れます。飛行機は夢や希望、あるいは戦争の記憶といった両義的な象徴として、靴や階段は人間の移動や痕跡、空間との関係性を物語る記号として用いられます。また、深く澄んだ青の色彩は、空気や記憶、精神の深層と結びつく色として、持田の作品世界におけるもうひとつの重要な言語となっています。


クロニクル形式で構成される本展では、持田が長年にわたって繰り返し向き合ってきた主題と、その表現の“変化”と“持続”とを交差的に浮かび上がらせます。青、空気、痕跡、飛行機、靴、階段——同じ言葉を何度も語ることで、それが違う深度で響くように、作品群もまた、時を経るごとに意味を変化させながら、より深く私たちの中に沈殿していきます。


90歳を超えた今もなお、彼は新たな空気を吸い込み、痕跡を残し続けています。それは回顧ではなく、「今」と「これから」に向けての試みであり、私たちがこの時代において、「どこに在るのか」「何を刻むのか」を静かに問い返してくれるものです。


持田総章という、時代の喧騒から距離を置きながらも、鋭く世界を見つめ続けてきた作家の軌跡を、あらためて今、ICHION CONTEMPORARYから届けます。