1854
元永定正 ( 1922 - 2011 )
会員限定
アクリル、キャンバス 額装 1990年
サイン、制作年。
モトナガ資料研究室発行鑑定書。
来歴:関東、個人コレクション
本作は、元永定正が1990年代に到達した作風を示すものであり、鮮やかな色彩と簡潔な形態が軽やかでリズミカルな構成のもとに配されている。空を思わせる青い背景の上には、雲のような白い形が浮かび、その下には多彩な形態が垂れ下がるように配置されている。これらの要素は、遊び心に満ちた視覚的リズムを生み出し、観る者にさまざまな情景や物語の想像を喚起する。
アクリル絵具を平滑に塗布することで、色面は鮮明かつ透明感を備え、個々の形態は独自の存在感を保ちながらも互いに調和し、生き生きとした視覚的ハーモニーを形成している。色彩と形態は、元永が追求した「純粋な視覚的共鳴」を支える重要な要素であり、明るい色彩は感情的な反応を呼び起こし、画面全体にリズムをもたらす。
形態の配置は「偶然」と「必然」のあいだに位置し、自然界における有機的成長と内在する秩序を想起させる。それぞれに個性を備えた浮遊する形態は、均衡と統一を達成し、作品に生命感を与えている。視覚的な喜びを通じて、元永は観る者に発見の歓びをもたらし、本作は自然や日常に潜む驚きを呼び覚ますとともに、「見ることの自由」と「感じることの喜び」を新たに意識させるものである。
元永定正、日本の絵本作家であり前衛芸術家としても活躍。1958年頃から、伝統的な「たらしこみ」の技法に着想を得た革新的な絵画によって注目を集めた。この技法は偶発的に生じる形や色の重なりを生かすものであり、彼はさらに独自の表現を追求し、異素材を取り入れることでキャンバス上に新たな質感や動きを生み出した。1961年には東京画廊およびニューヨークのジャクソン=モイヤー・ギャラリーで個展を開催。1965年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)の「新しい日本の絵画と彫刻」展に出品された。1986年にはポンピドゥー・センターで開催された「Japon des Avant-Gardes」展にも作品が展示され、国際的な評価を確立。2015年には、サザビーズのオークションで彼の作品が約1億円で落札されるなど、市場においても高い評価を受けている。受賞歴として、第6回・第7回・第10回現代日本美術展、1983年芸術文化振興協会賞、日本芸術大賞、ソウル国際版画ビエンナーレなどがある。
主要収蔵先:ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ダラス美術館、国立国際美術館(大阪)、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、中之島美術館(三重県立美術館)。
181.8×227.3cm
(71 ⅝ × 89 ½ in.)
2026/04/25
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