1824
元永定正 ( 1922 - 2011 )
会員限定
油彩、キャンバス 額装 1957年
サイン。
裏に制作年、サイン。
有限会社モトナガ資料研究室発行鑑定書。
出版:「元永定正展図録」P.98、No.11、西宮市大谷記念美術館、2002年
元永定正、日本の絵本作家であり前衛芸術家としても活躍。1958年頃から、伝統的な「たらしこみ」の技法に着想を得た革新的な絵画によって注目を集めた。この技法は偶発的に生じる形や色の重なりを生かすものであり、彼はさらに独自の表現を追求し、異素材を取り入れることでキャンバス上に新たな質感や動きを生み出した。1961年には東京画廊およびニューヨークのジャクソン=モイヤー・ギャラリーで個展を開催。1965年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)の「新しい日本の絵画と彫刻」展に出品された。1986年にはポンピドゥー・センターで開催された「Japon des Avant-Gardes」展にも作品が展示され、国際的な評価を確立。2015年には、サザビーズのオークションで彼の作品が約1億円で落札されるなど、市場においても高い評価を受けている。受賞歴として、第6回・第7回・第10回現代日本美術展、1983年芸術文化振興協会賞、日本芸術大賞、ソウル国際版画ビエンナーレなどがある。
主要収蔵先:ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ダラス美術館、国立国際美術館(大阪)、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、中之島美術館(三重県立美術館)。
1957年に制作された本作は、元永定正が具体美術協会に参加し、新たな表現を模索していた初期の重要な時期にあたる。後年に見られる鮮烈な色彩や流動する絵具、軽やかでユーモラスな抽象形態とは異なり、本作には座る人物を思わせる具象的なイメージが色濃く残されている。
黒や褐色を主体とした重厚な色調と、塗り重ね、擦り、引きずるような筆触によって人物の輪郭は次第に曖昧となり、形態そのものが絵具の動きへと溶け込んでいく。具象的なモチーフから、色彩や質感、筆触そのものへと関心が移っていく過程がうかがえる。
後年、元永は流動する絵具と鮮やかな色彩による独自の抽象表現を確立する。本作はその前段階に位置し、具象から抽象へと展開していく過渡期を示す一点である。
45.5×38.0cm
(17 ⅞ × 15 in.)(F8)
2026/10/21
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